「ポートを開けてください」と言われて戸惑った経験はありませんか。
ポート番号は、IPアドレスだけでは示せないアプリの宛先を区別する仕組みです。
本記事では、その役割から実務での使い方までを順に解説します。
図のイメージも交えながら、明日から現場で使える知識を身につけましょう。
ポート番号とは?IPアドレスとの違い
IPアドレスだけでは通信の相手を正確に特定できません。
IPアドレスは家の住所に近い概念ですが、その家では多くのアプリが同時に動いています。
そこで役立つのがポート番号です。
ポート番号は家の部屋番号のように働き、どのアプリへデータを届けるかを細かく仕分けます。
たとえば同じPCでWebブラウザとSSHクライアントが動いても、IPアドレスは共通です。
使うポート番号だけが異なり、OSは受信データを正しいアプリへ渡せます。
ネットワーク通信では、このIP+ポート番号の組み合わせで宛先を特定します。
図1:ポートのイメージ図

1台のPCに、80番・22番・443番といった“扉”が並ぶ図を想像してください。
80番はWeb、22番はSSHというように用途が決まった扉もあります。
データはこの扉を通ってアプリへ届くため、ポート番号は通信の入り口を示す重要な概念です。
TCP/UDPとポート番号の関係
ポート番号はTCPとUDPという2つのプロトコルごとに管理されます。
TCPの80番とUDPの80番は別の入り口です。
OSは受信データのヘッダーを確認し、「TCPかUDPか」「ポート番号はいくつか」を判断します。
この仕組みを理解しておくと、ログ確認や疎通テストで通信先のアプリを推測しやすくなります。
アプリでよく使うポート番号
代表例として、WebサーバはTCP80(HTTP)とTCP443(HTTPS)を使います。
DNSはUDP53を利用します。
こうした標準ポートを知っておくと、ログからサービスの種類をすばやく判断できます。
図2:TCPとUDPでポート番号が分かれるイメージ

ポート番号の3分類(Well-known / Registered / Ephemeral)
ポート番号は0〜65535で決まり、用途で3つに分かれます。
- Well-known(0–1023):世界共通の標準サービスが利用。HTTP(80)、HTTPS(443)、SSH(22)などが入ります。
- Registered(1024–49151):特定アプリや製品が登録して使う領域です。
- Ephemeral(49152–65535):クライアントが自由に使う“使い捨て”の番号です。Webアクセスなどで多くの接続を扱います。
なぜクライアントはEphemeralポートを使うのか
ブラウザはWebサイトへ接続するたびに、Ephemeralポートを1つ選びます。
番号が固定だと衝突しやすいため、自由に使える領域が必要です。
家庭用ルーターのNATでもこの番号が鍵になります。
外に出るときに番号が書き換えられ、戻り通信はその番号を頼りに元のPCへ届きます。
図にすると、ポート番号が“誰からの通信か”を識別する鍵だとよくわかります。
実務でポート番号が重要な理由
実務では、さまざまな場面でポート番号を扱います。
- ファイアウォール(FW):許可するポートを決め、不要な通信を防ぎます。
- NAT/NAPT:内部端末を識別する情報として欠かせません。
- サービス識別:サーバがどのポートで待ち受けるかは運用上の重要情報です。
ログ分析でも役立ちます。
送信元や宛先のポート番号を見るだけで、通信しているサービスの種類を推測できます。
図3:NATとポート番号の関係

家庭のPCがWebへ接続するとき、PCはEphemeralポートを使います。
ルーターはその番号をグローバルIPと別の番号に書き換えます。
戻り通信はNATテーブルを見て元のPCへ戻されます。
ポート番号が通信元を識別する鍵になります。
実務でよく使う操作例
実務では、ポート番号を確認しながら疎通チェックを行います。
Webサーバの確認では、curlで80番や443番へアクセスします。
telnet や nc(netcat)では対象ポートへ接続できるかを手軽に確認できます。
netstat や ss を使うと、どのアプリがどのポートを利用するかを調べられます。
サービスが起動しているのに通信できない場面で、原因の切り分けに役立ちます。
図4:疎通確認、ポート確認コマンド

「ポートを開ける/閉じる」の正しい意味
「ポートを開ける」とはFWで通信を許可する操作です。
ただしFWで許可しても、アプリがそのポートで待ち受けていなければ通信は成立しません。
逆にFWで閉じても、アプリが起動していれば攻撃を受ける可能性は残ります。
不要なポートは閉じておくことが大切です。
まとめ ― NAT/NAPTへの理解につながるポイント
ポート番号は、通信がどのアプリへ届くかを示す重要な情報です。
TCP/UDPとの関係や3つの分類を理解すると、ネットワークの仕組みが立体的に見えます。
NAT/NAPTでも、内部端末を識別する鍵として役立ちます。
ポート番号を理解すると、FWルール設計やNATテーブルの動きも自然に理解できます。

