「TCPとUDPってよく聞くけど、結局どう違うの?」
そんな疑問を持つネットワーク初心者の方に向けて、この記事ではTCPとUDPの基本的な仕組みや特徴、使い分けのポイントをわかりやすく解説します。
配達サービスにたとえた説明や図解も交えながら、「TCP=信頼性重視」「UDP=スピード重視」と、イメージしやすくなる内容になっています。
【H2-1:TCPとは?|確実に届ける通信プロトコル】
**TCP(Transmission Control Protocol)は、「データを確実に、順番通りに届ける」**ことを重視した通信方式です。
たとえるなら、手渡しで届けて、受け取り確認まで行う宅配便のようなもの。途中で荷物がなくなっても、再送してくれる安心感があります。
TCPでは通信の前に「3ウェイハンドシェイク」と呼ばれる手順で、通信の準備を整えます。
さらに、送ったデータが届いたかどうかを確認し、必要なら再送信を行う仕組みも備えています。
このように、TCPは高い信頼性を持つため、次のような場面で使われています:
- Webサイト閲覧(HTTP/HTTPS)
- メール送受信(SMTP、IMAPなど)
- ファイルの転送(FTPなど)
📷 図1:TCP通信の流れ
「SYN → SYN/ACK → ACK」と順番に通信を確立する

【H2-2:UDPとは?|スピード優先の通信プロトコル】
一方の**UDP(User Datagram Protocol)は、「とにかく速くデータを届ける」**ことに特化した通信方式です。
こちらはポストにハガキを入れて投函するような感覚で、送った後の確認は行いません。
ただし、UDPも双方向通信は可能で、あくまで確認や再送の処理がないだけです。
このシンプルな構造のおかげで、UDPは軽くて速いという特徴があります。
主に以下のような、リアルタイム性が求められるサービスで使われています:
- 動画のライブ配信
- 音声通話
- オンラインゲーム
📷 図2:UDPの通信イメージ
送信者が一方的にデータを送り、受信側から応答はない

【H2-3:TCPとUDPの違い|比較表で一目で理解】
TCPとUDPは**「どちらが優れているか」ではなく、「どんな用途に向いているか」で選ぶ**のがポイントです。
項目 | TCP | UDP |
---|---|---|
信頼性 | 高い(確認・再送あり) | 低い(確認なし) |
通信速度 | やや遅い(手順が多い) | 速い(処理が軽い) |
データの順序保証 | あり | なし |
主な用途 | Web閲覧、メール、ファイル転送 | ライブ配信、音声通話、オンラインゲーム |
✅ 補足:最近の技術動向
信頼性が高い=遅いとは限りません。
たとえば、**「TCP Fast Open」**や、Googleが開発した「QUIC」(UDPベースの高速プロトコル)など、通信を高速化する技術も登場しています。
【H2-4:TCPとUDPが使われる具体例】
それぞれのプロトコルがどんな場面で使われているかを、実際のサービス例で見てみましょう。
✅ Webサイト(TCP)
Webページはテキストや画像、スクリプトなど多くの要素が組み合わさっています。
これらを正確に順番通りに受け取るために、信頼性の高いTCPが使われます。
✅ メール(TCP)
本文や添付ファイルが壊れていては困りますよね。
確実な配達が求められるメール通信にもTCPが使われます。
✅ ライブ配信・ビデオ会議(UDP)
Zoomなどのサービスでは、遅延をできるだけ減らすことが重要です。
少しの音声欠けや画質低下よりも、リアルタイム性が重視されるためUDPが適しています。
✅ オンラインゲーム(UDP)
プレイヤーの動きや操作をリアルタイムでやりとりする必要があるゲームでもUDPが使われます。
※ちなみに、YouTubeやNetflixなどのストリーミング配信では、TCPが使われるケースが多いです。
バッファリングで遅延を吸収しつつ、データの整合性を確保しているためです。
【H2-5:TCPとUDPの選び方|ユーザーは意識しなくてOK】
「TCPとUDPって、自分で選ばないといけないの?」と心配になるかもしれませんが、安心してください。
ほとんどのアプリやサービスが自動で最適なプロトコルを選んでくれます。
ただし、仕組みを知っておくとトラブル対応に役立ちます。
例:
「動画がカクつく → UDPでパケットが欠損しているかも?」
「メールが届かない → TCPの接続に問題がある?」 など。
より理解を深めるには、**「ポート番号」や「IPアドレス」**といった関連知識も一緒に学ぶのがおすすめです。
【H2-6:まとめ|TCPとUDPの違いをざっくり理解しよう】
- TCPは信頼性重視、UDPはスピード重視
- どちらが良いかではなく、用途に応じて使い分けるのがポイント
- Webやメール → TCP / ライブ配信やゲーム → UDP
- 普段は意識しなくても大丈夫。アプリが自動で制御してくれます
次は「ポート番号ってなに?」「pingってどうやって使うの?」といったテーマで、ネットワーク知識をさらに深めていきましょう!